経産省系補助金で最近採択事例が増えてきた農業経営・販売促進・スマート農業導入に関する事例を紹介します。
今回はものづくり補助金について「グリーン枠」を利用して環境にやさしくSDGsの理念に沿った持続可能な果樹栽培に取り組んだ果樹園の事例を紹介します。
ものづくり補助金とは何?
ものづくり補助金について簡単に説明します。
今後複数年にわたり相次いで直面する、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等の制度変更等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性向上に帰する設備投資等への補助金です。
売上減少やコロナの影響は関係なく申請できます。機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など幅広い資金を申請でき、製造業、ものづくりの自力をアップさせます。
ぶどう栽培 果樹園の事例紹介
今回紹介するのは以下の果樹園を経営している栽培業の方です。
通年稼働可能なグリーンな温度制御システムでおいしいぶどうを年中収穫可能にした事例
業種 | ぶどう栽培(果樹園)経営 |
創業 | 50年目 |
社員人数 | 代表者+家族(3名) |
エリア | 長野県中部 |
ぶどうの名産地長野県中部で果樹園(ぶどう園)を経営する農家です。家族経営ですが、栽培するぶどうの評価は高く、地元の名産品コンテストで入賞したこともあります。
このぶどうをもっと多くの人に食べてもらいたく、通常の果樹園に温度管理システムを導入し、通年で提供できればもっと売上も上がると考えた次第です。年間通してぶどうを栽培できれば、土地を無駄なく使用でき、効果的においしいぶどう生産につながります。
温度管理システムには多額の設備資金が必要になります。良い方法がないかネットを検索していると「補助金マッチ」というサイトをみつけました。
サイト経由で問い合わせると「ものづくり補助金」が使えそうだという指摘をいただきました。
特にブドウ園の温度管理は環境と密接にかかわるので、ただ単に温めるシステムでは、二酸化炭素の排出が多くなり環境にはマイナスです。
そこで、温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセスの導入で「グリーン枠」を使うことにしました。
ものづくり補助金「グリーン枠」に応募!
補助金マッチの専門家のアドバイスもあり、「ものづくり補助金・一般枠・グリーン枠」に応募しました。通年で温度管理できるぶどう園、しかも温室効果ガスを極力減らすグリーンな投資は、ものづくり補助金の趣旨に資するものであり、専門家もうまくいくのではないか?と太鼓判を押してくれました。
通年稼働なブドウ園の室温管理システム導入は、甘くておいしいぶどうができる環境を通年にわたって作るものであり、業者オリジナルの温度管理システムによって、温室効果ガスの排出を大きく削減できます。
結果として「環境にやさしい」「果樹園というものづくり」の2方面でアピールできるものになりました。
ものづくり補助金申請内容
申請書類について、補助金活用プロデューサーのアドバイスもあり、温室効果ガス削減を徹底的にアピールし見事ものづくり補助金「グリーン枠」を受給できました。
従業員数 5人以下 :100万円~4000万円
補助率2/3
果樹園温度制御装置(ビニールハウス等含む):1500万円 補助率2/3 補助金1000万円満額受給
ものづくり補助金を受給してその後の展開
申請者が栽培しているぶどうは県外からの常連客も多く、ワインにしてもおいしいということでワインメーカーからの発注も増えました。
これは、装置導入前からの口コミで目をつけてくれていた人たちが、通年出荷が可能になったことで、タイミングを見て依頼したという背景もあります。
農協やスーパーに卸す量も増え、不揃いなものはジュースメーカーなどが買い取ってくれるようになりました。
売上は前年までの50%増になり、果樹園を効率よく、かつおいしいぶどうを提供できるようになり大満足の結果です。
ものづくり補助金「グリーン枠」のポイント
- 家族経営など小規模事業者ほど補助率が高い
- 「一般型・通常枠以外」は補助率が2/3と高い
- コロナの影響や売り上げ減少要素は関係なく申請可能
- 温室効果ガス削減など環境対策は補助金受給に有効。SDGsなどのアピールにもなる
- 補助金上限が他のものと比べて高い。大規模な設備資金にできる
ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
[公募要項・申請様式・Jグランツ申請情報にアクセスしたい方]
https://portal.monodukuri-hojo.jp/