農業は後継者不足や販売チャンネルの複線化などさまざまな問題を抱えています。単に自分の菜園で栽培した農作物を販売する方法を多角化するだけではなく、自社の栽培について知的財産なども含めて保護することが大切になります。
今回は東京都が行っている農作物のための補助金を活用して小松菜農家の室温管理システムの知的財産申請に成功しライバルに勝って販売促進に成功した例を取り上げます。
江戸川区で小松菜栽培をしている農家の事例
今回紹介するのは、東京都江戸川区で小松菜栽培をしている農家です。
家族経営で、ビニールハウスなどを使って通年で小松菜を栽培しています。小松菜は江戸川区の名産で「小松川」という江戸川区の地名とも関係しています。青梗菜やホウレンソウとはまた違うおいしさがあり、江戸川区の地場産業として大々的にアピールしています。
今回の申請者も、ビニールハウスによる温度管理で季節を問わずおいしい小松菜を全国に出荷しています。
独特のビニールハウス管理のための温度管理、空調システムは昔からのビニールハウス会社と一緒に研究し、作り上げたものです。
他社にまねされると、通年でおいしい小松菜のアドバンテージがなくなってしまうため、どうすればいいのか、農業支援センターから派遣する専門家のアドバイスを受けました。
専門家によると、システム制作費について助成金申請は難しいものの、知的財産権(特許)取得についての費用を本助成金で申請できるとのアドバイスをいただきました。
知的財産権取得費用については、国の各種補助金でも支給されることがありますが、補助金ということで審査があり、落ちることも半分くらいあるとのこと。助成金ならば、様式さえ整っていればまず通過して支給されるというアドバイスもいただきました。
そこで、温度管理システムについて特許を申請し、その費用を助成金で補うことにしました。
特許申請についても、農業支援センターのアドバイスを受け、その分野に強い弁理士に依頼しました。
特許権取得費用の相場は
特許庁費用30万円
弁理士(特許事務所)費用30万円
合計60万円ですが、今回は前者30万円にかかる費用について助成金を申請しました。
最大30万円の2分の1の補助率なので、うまくいけば15万円助成金をもらえるはずです。
東京都農林水産振興団販売促進等活動助成事業の概要
ここで、東京都農林水産振興団販売促進等活動助成事業の概要について簡単に説明いたします。
東京都内の農業事業者の経営強化を図ることを目的として、農業支援センターにより派遣する専門家のアドバイスを受けて実施する農産物販売促進等の具体的な取り組みに対して、助成金を支給します。
助成金の対象
東京都農林水産振興財団が運営する「チャレンジ農業支援センター」の専門家派遣事業を利用して、専門家の助言を受けていただきます。
その後、(専門家の助言によって)助成の対象となる取り組みを行う都内農業者及び農業者組織に対して助成金を支給します。
助成対象経費
チャレンジ農業支援センター専門家派遣事業による専門会の助言に基づく農業経営活動のうち
- 知的財産の取得及び活用に関する取組み
- 農産物等の販売促進活動に関する取組み
に関して助成金を支給します。あくまで、専門家の助言を受けてのことなので注意してください。勝手な基準で助成金を申請しても通りません。
補助費用
助成制度額15万円(補助率1/2)
つまり、最大30万円の費用に対して15万円の支給が上限となります。
助成金額の上限を申請いたしました。
申請が通り特許申請費用が認められた
助成金は後払いなので、最初に特許を申請する場合の法定費用は申請者が負担します。いずれにしても、温度管理システムの特許は必要なので、弁理士に依頼して特許申請するつもりでした。
申請法定費用30万円のうち半額返ってくれば「儲けもの」というつもりでしたが、申請が通り満額(15万円)の助成金を受給できました。
おかげさまで、小松菜の出荷は他社に先駆けて、年中しっかり行えるようになり、品質も向上しました。
売上も安定して、前年比20%増になっています。特許を取得する後押しとなったのがこの助成金です。
東京都の助成金、地方自治体の助成金も補助金マッチにお任せ!
今回紹介した「東京都農林水産振興団販売促進等活動助成事業」のような各自治体がやっている小さな補助金や助成金は、国のものづくり補助金や事業再構築補助金など有名どころと比べて知名度はありませんが、その分応募も少なく、審査に通りやすくなっています。
穴場的な補助金、助成金を申請できると、貴社の経営に役立ちます。国の補助金との併用が可能なものもあり積極的に活用したいものです。
このような自治体の補助金、助成金に詳しい補助金活用プロデューサーが適切なアドバイスが可能です。まず、みなさんが何を目指しているのか聞かせてください。
それに適した補助金、助成金を提案いたします。返済不要な資金調達であり、ぜひ活用して経営改善につなげてください。