東京都の「商店街起業・承継支援事業」を活用した開業ステップ解説!
商店街がどんどんさびれています。大規模商業施設の開業が進んでいる背景には、「大規模小売店舗法」(大店法)の廃止(2000年)や商店街店主の高齢化、後継ぎ不足などによって、どんどん小売店が商業施設や大型スーパーに集積しています。
しかし、町の商店街は文化であり、その地域を支えるために重要です。そこで東京都では「商店街起業・承継支援事業」という補助金を設立し、商店街の店舗起業や後継者のいないお店の事業承継、M&Aを後押ししています。
今回は「商店街起業・承継支援事業」について解説します。
商店街起業・承継支援事業
応募要項
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shotengai.html
東京都内の商店街をめぐる現状を把握
まず、東京都内の商店街が現在どのような状況なのか理解しておきましょう。
平成13年(2001年)に3000件近くあった都内の商店街は平成28年に2500件を割り、令和1年も100件近く減少しています。
その後のデータはありませんが、令和2年以降の新型コロナウィルスの影響で、さらに商店街の中では閉店に追い込まれるお店は増えているはずです。
地域のコミュニティとしての商店街、文化の発信地としての商店街を守り、活性化させていくためにも商店街振興は不可欠な状況になっています。そのための補助金として、この「商店街起業・支援事業」がスタートしました。
商店街起業・承継支援事業の概要
商店街起業・承継支援事業とはどのような制度なのか説明します。
商店街起業・承継支援事業は、年齢や性別を問わず、広く商店街活性化に興味をお持ちの方に補助金を出し、出店支援する制度です。
なお、東京都には商店街起業・承継支援事業と似た制度として「若手・女性リーダー応援プログラム助成」というものも設けてます。こちらについては別記事にて解説します。
商店街起業・承継支援事業の対象者
商店街起業・承継支援事業は以下の方々の商店街での開業を支援します。
- 開業が各回交付決定日以降であること(すでに商店街で開業していないこと)
- 「創業予定の個人」もしくは「中小企業者(法人・個人事業主)」であること
- 申請予定店舗が「都内商店街」にある
- 申請者(法人の場合は代表者)もしくは法人の場合は、当該法人の従業員(正社員に限る)が開業予定であり、店舗の事業に専ら従事できること
商店街起業・承継支援事業の申請条件
この事業を申請するためには(1)(2)の条件を満たす必要があります。
(1) 商店街で開業することについて、申請時点で当該商店街にある商店街振興組合、商店会等の組織の代表者等から承諾を受けていること。補助金決定、開業後もその商店街に加入し続けること。
(2) 以下のいずれかの経営に関する知見を証明できること。
① 1年程度の経営実務経験があることを職務経歴書等で証明できる。
② 経営等に関する資格を持っていることを証明書等で証明できる。(食品衛生責任者、ソムリエ、美容師、宅地建物取引士など)
③ 申請日から過去3年以内に以下の研修を受講した、または受講予定である
主催団体 | 受講すべき研修 |
---|---|
東京都中小企業振興公社 | 商店街起業促進サポート事業(商店街開業プログラム)、TOKYO起業塾、女性起業ゼミ、等 |
東京商工会議所ほか 都内商工会議所、商工会 |
創業者向けセミナー、創業ゼミナール、等 |
政府、自治体、金融機関 | 上記に類する創業・起業支援セミナー、 特定創業支援等事業、 |
商店街の活性化のための事業なので、補助金決定後も商店街のために頑張ることが必要です。
別の場所で1年以上実績がある人は資格職でなければ、特段の証明なく申請できます。資格職はその資格証や研修証明などが必要です。職務経歴書のほか、確定申告書などがあればなおよいでしょう。
商店街起業・承継支援事業の対象業種
商店街起業・承継支援事業の対象業種は幅広く、以下の業種であれば補助金申請できます。
業種 | 事業内容 |
---|---|
卸売業・小売業 | 各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、機械器具小売業など) |
不動産業・物品賃貸業 | 不動産取引業、不動産賃貸業・管理業、物品賃貸業 |
学術研究・専門・技術サービス業 | 写真業 |
宿泊業・飲食サービス業 | 宿泊業、飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業 |
生活関連サービス業・ 娯楽業 | 洗濯・理容・美容・浴場業ほか、娯楽業 |
教育・学習支援業 | |
医療・福祉 | 整骨院など(病院、クリニックなどは対象外) |
サービス業(他に分類されないもの) | 機械等修理業(エアコン修理など) |
どんな新規開業でもよいわけではなく、あくまで商店街にある(ありそうな)お店の新規開業を補助します。商店街に大きな工場はないわけで、製造業などは対象外になります。
商店街起業・承継支援事業で補助される事業
商店街起業・承継支援事業で補助されるのは新規開業だけではなく、以下の1~3の事業になります。新分野開拓や事業承継、M&Aとして店舗改装を含めて新規出店する場合も大丈夫です。
- 開業:新規開業し商店街に実店舗を開設、開業する場合
- 多角化:すでに事業を行っている人が異なる分野に進出するため、商店街に新規に実店舗を開設する場合
- 事業承継:中小企業者の事業承継、M&Aの際に後継者が商店街にある店舗改装等を伴う引継ぎを行う場合
商店街起業・承継支援事業の補助金額、補助対象経費
商店街起業・承継支援事業の補助金額やどんな経費を補助するのか、補助対象経費の費目について表にまとめました。
経費区分 | 助成率 | 助成限度額 | 助成対象期間 |
---|---|---|---|
事業所整備費/ 店舗新装・改装工事費 | 2/3以内 | 250万円 | 交付決定日から 開業日の翌々月末 (最長1年間) |
事業所整備費/設備・備品購入日 (税込10万円以上) |
|||
事業所整備費/宣伝・広告費 (上限100万円) |
|||
実務研修受講費 | 2/3以内 | 6万円 | |
店舗賃借料 | 2/3以内 | 1年目:180万円 (15万円/月) | 交付決定日から2年間 |
2年目:144万円 (12万円/月) |
補助金額、補助率とも一般的な開業希望者向けのものよりも条件が良くなっています。特に店舗の賃借料について2年間補助金で補えるのは大きな魅力です。
商店街起業・承継支援事業のスケジュール、手続きの流れ
商店街起業・承継支援事業はどのような流れで進むのでしょうか?申し込み方法やスケジュールを確認します。
2022年商店街起業・承継支援事業のスケジュール
商店街起業・承継支援事業の2022年スケジュールは以下になります。
募集回 | 第1回(募集終了) | 第2回(募集終了) | 第3回 |
事前エントリー申請※必須(WEB) | 4月5日(火)〜4月19日(火) | 6月27日(月)〜7月14日(木) | 9月26日(月)〜10月14日(金) |
申請書類提出期間 | 4月下旬〜5月上旬 | 7月下旬〜8月上旬 | 10月下旬〜11月上旬 |
書類審査 | 5月下旬〜6月中旬 | 8月下旬〜9月中旬 | 11月下旬〜12月中旬 |
面接審査 | 7月上旬 | 10月上旬 | 令和5年1月上旬 |
交付決定日(予定) | 8月1日 | 11月1日 | 令和5年2月1日 |
すでに第2回まで募集は終了していて、残りは第3回のみになります。
商店街起業・承継支援事業申し込みの流れ
申し込みは上のスケジュールに沿って以下の流れで進みます。
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
事業実施後、完了検査~助成金振り込みまでがおおよそ2か月になります。事業実施後の支払いになりますので、まず自己資金で事業を行います。
商店街起業・承継支援事業申請に関する必要書類は以下になります。
(◎法人のみ、〇個人事業主、●開業・創業予定者、無印共通)
申請事前確認リスト
商店街出店に関する承諾書
申請書
月次資金繰り表
申請費用の根拠資料
開業する物件の詳細が分かる資料
経歴書
経営研修等に関する書類
実務研修等に関する書類
封筒
補足説明資料
◎登記簿謄本
納税証明書(法人は法人税、個人事業主、創業希望者は所得税)
◎〇確定申告書
〇開業届
〇●住民票
●収入に関する書類
商店街で地域に根差した事業展開をプッシュする「商店街起業・承継支援事業」にぜひ応募しよう
商店街起業・承継支援事業は東京都独自の取り組みですが、補助額も多く、商店街に加入して地域コミュニティの中で事業をやっていくためにはぜひ活用したい補助金です。
必要書類が多いので、まず「補助金マッチ」に相談してみましょう。
「補助金マッチ」はさまざまな補助金についてアドバイスや手続きを専門家へ依頼できるサイトです。「商店街起業・承継支援事業」も対応しますのでご安心ください。
39歳までの方や女性の方は、別記事で紹介する「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」も併願できます。よい機会ですので、申請を検討してみてください。
「商店街起業・承継支援事業」にも補助金はたくさんありますので、ぜひ一度「補助金マッチ」にご相談ください。
2022年第3回の「商店街起業・承継支援事業」にはまだ間に合います!
商店街起業・承継支援事業
応募要項
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shotengai.html